こんにちは。ばーしーです。
宅建士として大手不動産会社の売買仲介部門で5年営業し、年間50件の契約をお手伝いしてきました。様々なお客様をお手伝いした経験から不動産売却に関する情報を発信中です。
この記事では一括査定サイトなどの不動産査定を通じて失敗しない不動産会社・担当者の選び方について、22個のポイントをお伝えします。
◆過去のお客様の相談内容
- 大きな金額が動くため、会社選びで失敗したくない
- 不動産査定をした結果どの営業担当者もよく見えて、どの会社に頼むか決められない
- 不動産会社の営業担当者に騙されたくない
私が営業時代に査定訪問した際、売却をお考えの方からいただいた声を抜粋しました。
会社・担当者選びに失敗すると取引がスムーズに進みません。会社・担当者を変えることに繋がります。選定した時間や労力を再度使うどころか、すでにネットなどで情報が出回っているため、売れ残り感が出て売却活動に影響を与えるリスクがあります。
記事の内容をチェックリストにして失敗しない会社・担当者を選んで、売却活動のスタートダッシュを切りましょう。
【はじめに】会社・担当者選びの重要性
依頼する会社・担当者選びは不動産売却の肝です。私が営業していた頃会社選びに失敗して「物件が売れない」と相談に来られるお客様が多数いました。特徴は以下のとおり。
◆不動産会社・担当者選びに失敗した人の特徴4選
- 査定金額の高さにつられて依頼した
- チラシやDM、ネットの情報を信じて依頼したが売れない
- 売却活動を依頼してから状況報告がない・状況がよくわからない
- 売れない状況のまま次の提案がない
具体的な内容や会社・担当者選びの重要性は別記事「【不動産売却】会社選びに失敗した人特徴4選!会社・担当者選びの重要性をお伝えします」をご覧ください。
1と2は書面で明示されるため、判断しやすいです。3と4は依頼してからでないとわかりません。
◆不動産会社・担当者選びに失敗した人がその会社に決めた理由
- 一番最初に話を聞いたから
- なんとなく雰囲気もいいし、親身になってくれたから
- 大手だし、勢いがあって売ってくれそうだったから
依頼先で失敗したお客様から会社・担当者を選んだ理由をたずねたところ、曖昧な回答でした。この記事を読んで依頼先を間違えないよう、査定に臨んでください。
【ポイント22選】不動産会社・担当者の選び方について紹介します
電話・メール対応
査定依頼を完了すると不動産会社から電話またはメールで連絡があります。どのような対応か意識して見極めましょう。
1. 連絡方法・希望日時は指定通りか
NG例)
- 連絡方法の希望でメールを指定したところ、電話連絡がきた
- 指定した日時以外のタイミングで連絡がきた
査定サイトにより入力項目が異なりますが、一般的に希望の連絡方法や連絡日時の指定ができます。査定サイト側より担当者に入力した内容が伝達されているため、例)のような担当者は注意力がないか、内容を確認せずに連絡を入れたかに該当します。
2. メールや郵送で誤字・脱字はないか、内容は一見して理解できるか
メールNG例)
- 査定のご依頼誠にありがとうございます。レインズの成約事例にもとづき、査定金額を算出いたします。
※レインズ=不動産会社が閲覧できるサイト。販売物件の取引状況や過去に売買した取引事例を確認できます。
誤字・脱字はもってのほか、担当者から送られてくる内容について、一見して理解できますか。メールの例)文中「レインズ」のような専門用語をわかりやすく説明しない場合、買い手との商談でも同じことが起きていると想定しましょう。よい物件でも魅力が相手に伝わらなければ、意味がないです。
3. 電話の取次対応に問題はないか、態度は高圧的でないか
NG例)
- 電話にて担当者からの折返しを希望したが、いつまでも連絡がない
担当者の対応がよくても社内に対応が悪い人はいないか確認しましょう。あなたの代わりに売却活動の窓口となる人達です。あなたの不動産に興味を持った人の問合せがあったとき、対応に不備があると、買い手の意欲が下がり売却機会を損失します。
会社の見方
公開情報から会社をチェックするポイントについて、使用するサイトと共に紹介します。
4. 免許証発行年月日
使用サイト
チェック項目
- 最初の免許証年月日=国土交通大臣または各都道府県知事から営業許可を得た日にち
記載の年月日から現在まで営業していることになります。会社がどのくらい経験を積んでいるか、長さを指標としましょう。
5. 情報の更新頻度と営業エリアの確認
使用サイト
- 各社ホームページのお知らせ・ニュースリリース、会社概要
- 販売物件ページ
チェック項目
- ホームページの更新頻度
- 会社の営業地域と取扱物件
サイトの更新頻度は高いですか。最終更新日が古い場合はなぜ更新していないか質問しましょう。理由なく放置しているなら論外。不動産会社は情報が商売の種です。大切な不動産が雑に扱われないか注意してください。
また同じ地域で取扱っている物件、地域が違っても条件が類似した物件の取扱いがあるか確認します。競合物件を扱っている=物件を探している人の情報を持っているはずです。買い手がどんな人になるかイメージを持っている会社・担当者に頼みたいところです。
6. 会社の雰囲気・場所
使用サイト
- 各社ホームページの店舗紹介
チェック項目
- 店舗の場所、室内写真
- 駐車場の有無、場所の案内
依頼を決めた場合、自分に代わって物件を売り込んでもらう会社です。買い手の気持ちを想像して、行きやすい雰囲気でわかりやすい場所にあるか確認しましょう。
7. 行政処分されていないか
使用サイト
チェック項目
依頼したい会社が悪事を働いていないか確認しましょう。直近5年分の情報が載っています。「国土交通省ネガティブ情報等検索サイト」では表示されない情報もあったため、2つとも確認することをオススメします。
営業担当者について(基本)
実際に現場で応対される営業担当者について、チェックポイントを紹介します。
8. 挨拶・会話の仕方
- 挨拶・会話の声がはっきり聞き取れるか
- 営業担当者と目が合うか
- 営業担当者の目が泳いでいないか、声が上ずっていないか
コミュニケーションの基本ができているか噓をついていないか、当たり前のことですが意識して見てください。営業は多くの人と商談し、契約することが仕事です。甘い話に騙されないよう見極めましょう。
9. 身だしなみ
- パッと見てだらしなくないか
- 靴がすり減りすぎていないか
- 身につけているものがボロボロでないか
パッと見てだらしない人は避けてください。服装は会社のスタンスによるため、担当者の思考が見える部分をチェックしましょう。中身も外見も大切です。
10. 約束したことを守れるか
NG例)
- 約束した日までに報告や連絡がない
競合他社の中に当たり前のことができない方がおり、私が依頼を受けた経験が何度かありました。
不動産仲介の営業は見込み客を多く抱えていますが、仕事を管理できない人がいます。そういう方だとわかったら、遠慮なく断ってください。話が進む中で日付を決めて取引を進めるタイミングがいくつもあります。迷惑を被るリスクは避けましょう。
対して積極的に期日を決め、約束を守る営業担当者は好印象です。
11. 打合せ内容を記録しているか
NG例)
- 営業担当者に伝えたつもりが伝わっていない
- 依頼したことをやっていない
不動産売買は些細なことで大きなトラブルに発展します。打合せ内容や物件に関する情報(特にネガティブな情報)は話を流さずに記録しているかチェックしましょう。私は過去に失敗したことがあり、以降は打合せ内容や顧客と話したことを都度記録してトラブルになることを防止していました。
依頼する相手とは書類を共有し、互いに記録を確認できる状況にしましょう。時間が経つほどトラブルになるリスクが高まります。
営業担当者について(知識)
どんなによい人物か経験か話を聴いても、それが確かなものかはわかりません。可能な限り実力を測っていきましょう。
12. 売却活動の流れを理解しているか
- 各段階で何をするか聞く
- あなたの相談事例と同じような事例を経験していれば、エピソードと具体的に何をしたか教えてもらう
売却活動にかかる基本の知識です。担当者によって紹介の仕方が変わりますが、大まかな流れは同じです。ここで話が詰まるようであれば、断って差支えありません。後々、取引がスムーズに進まない可能性が高いからです。
各段階の概要は表のとおりです。
①査定申込 | 一括査定サイトなどを通して、各不動産会社へ査定依頼をおこないます。 |
②査定・不動産会社選定 | 目安となる査定金額や売却活動の進め方について提案を受けます。この記事を活用して、失敗しない会社・担当者選びをしましょう。 |
③媒介契約 | 選定した会社に売却活動を依頼する契約です。3種類あります。違いを理解し、どの契約を締結すればよいか納得いくまで説明してもらいましょう。 |
④問合せ対応、内覧・交渉 | 募集活動中の対応事項です。内覧(お住まい中の場合や空室でも荷物のある場合は立ち会いをオススメ)を経て、買い手から購入希望の申込みがあれば売却条件の交渉を営業担当者とおこないます。 |
⑤売買契約 | 買い手との売買条件に納得ができれば、売買契約です。一般的にはこのタイミングで手付金(=売買代金の一部)を受領します。 |
⑥引渡準備 | ⑧決済(引渡)に向けて、⑤売買契約時に締結した約束を果たせるよう準備します。例)売却物件にお住まい中の方は⑧決済(引渡)までに引越して家を空ける。 |
⑦引渡 現地確認 | ⑤売買契約時に締結した内容で⑧決済(引渡)を迎えることができるか事前確認をおこないます。目安は前日~7日前が望ましいです。例)内覧時に故障していたシャワーヘッドを修繕する約束で⑤売買契約。⑧決済(引渡)までに修繕したので、使用できるか確認する。 |
⑧決済 (引渡) | 売買残代金(売買代金全額から⑤売買契約時に受領する手付金を差し引いた額)を受領し、不動産所有者の権利を買い手に引き渡します。一般的な方法は金融機関に売り手、買い手、不動産会社、司法書士の四者が集まり手続きをおこないます。 |
⑨確定申告 | 売買を執り行った年の翌年2月~3月に確定申告をおこないます。売却代金は所得とみなされるため、納税の有無にかかわらず申告が必要です。詳しくはお住まいの管轄税務署に尋ねましょう。※税金が発生しても売却金額を上回ることはありません。 |
13. 物件のメリット・デメリットを説明できるか
- 物件のメリット・デメリットを聞く
- デメリットはどうフォローして売ってくれるか聞く
デメリットをフォローする売り方は担当者を差別化でき比較しやすくなります。商談時にアピールポイントを推してもらうだけでなく、デメリットも開示できる担当者をオススメします。売却後トラブルにならないよう、買い手にリスクを納得して購入してもらうためです。
営業担当者について(経験・実績)
14. 相談事例と同様の売買を経験をしたことがあるか
例)
- 持ち家の戸建を売却し、売却益(=現金)でマンションを購入する
- 持ち家の戸建を売却、売却益を頭金に使用し住宅ローンを組んでマンションを購入する
戸建を売却するところまでは同じですが、現金で購入するか住宅ローンで購入するかで手順が変わります。同様の経験をしたことがある担当者は手順をすでに知っています。
あなたが相談する事例と同じようなケースの経験があればその時のエピソードを詳しく聞きましょう。慣れている担当に頼む方がスムーズです。
もし経験していない人に頼みたいと思った時は、12.で紹介した 「売却活動の流れ」に沿って手順を説明できるか「8. 挨拶・会話の仕方」の項目を利用しながら確認してください。
15. 得意な地域や種別、実績はあるか
- 地域
- 種別(マンション・戸建・土地・投資用など)
得意な分野や類似した物件の売買実績あるか確認しましょう。なぜ得意なのかも質問してください。理由に裏付けがある担当者を選びましょう。
提案の内容の判断基準
16. 査定金額に納得できたか
査定金額は売れる金額を保証するものではありません。各社が過去の売買事例をベースに売買が成立するであろう金額を提示しています。他社と比較して高すぎる評価は要注意。評価が高い人に頼みたくなる心理を逆手に取っています。
比較対象となりやすい項目
- 地域、沿線の特徴、交通機関・近隣施設の利便性
- 築年数、間取り、面積、方位、道路に接している敷地の辺の長さ、接している道路の幅
- 熱源(=電気、ガス、灯油など)
上記項目だけでも比較になり得ない物件を比較対象として、査定金額を提示しているケースを見たことがあります。
査定の根拠を明示してもらい、納得いかない場合は選択から外しましょう。
17. 提案が希望に沿っているか、計画を実行できそうか
- 提案が希望に沿っているか
- どの位の日程で進める想定をしているか
- 売却活動の流れに沿って、いつ・何をする必要があるかが明確か
査定金額だけなら誰でも説明できます。あなたの希望を汲み取り計画を実行できそうか、具体的に聞きましょう。
18. 提案が希望に沿っていない場合の対処法
- 希望に沿っていない理由を理解できるよう説明してもらう
- 冷静になって話を聞く
希望と異なる方法ですが、あなたの目的が果たせることもあり得ます。相手はプロです。話を聞く中で、あなたが想定していなかった解決策を提示しているのかもしれません。
理由が理解できるものであれば上記17. のとおり、計画が実行できそうか吟味してください。
19. 内覧の立ち会いについて戦略があるか、あなたの生活スタイルに寄り添った提案か
17. 18. のポイントに含まれますが販売戦略に直結するため、強調します。
例)
- お住まいのまま売却活動をおこなう
- 空室だが荷物が残っており、内覧に立ち会う
いずれの場合も内覧日時の調整が必要ですが、頻度が高くなると拘束時間の増加に繋がります。日時を限定して臨むのか、カギを渡して代わりに立ち会ってもらうのか等、方法は自由です。
ポイントは立ち会いに関する説明があり、あなたに寄り添った提案をしているか判断基準にしてください。
内覧する時間帯により日当たりがよい点をアピールしたり、景色がポイントであれば景色がよく見える時間帯を選んだり、売る気があるかどうかも発揮される部分です。
依頼する担当者によっては事前に説明がないため、急な話を不満に感じるケースも聞いたことがあります。
20. 買い手のイメージが湧いているか
- どんな人が物件を購入しそうか
- 複数イメージを持っているとなおよし
営業担当者の中に書い手のイメージが湧いているかがポイントです。曖昧な回答の場合、選択肢から外しましょう。
21. 集客方法の確認
- インターネットサイト
- 紙面広告
- SNS
- 自社顧客への紹介
- レインズ(不動産流通機構)への登録
※レインズ=不動産業者だけが閲覧できるサイト。販売状況を確認できるサイトです。
インターネットサイトは必須。特にSUUMO・atHomeなどの大手サイトは抑えておきたいです。私が勤めていた会社では問合せの9割以上がSUUMOまたはatHome経由でした。
どのような手段を取るか、具体的な戦略を確認しましょう。
22. 会社特有のサービスはあるか(補足)
- 会社特有のサービスがあるか
- 仲介手数料の値引き交渉はほどほどに
サービスは甲乙つけ難い時の判断理由に使ってください。サービスも大切ですが、最も大切なことはあなたにとって最適な会社・担当者を選ぶことです。
仲介手数料の値引き交渉はほどほどにしましょう。仲介手数料は不動産会社の稼ぎのため、減額を要求しすぎるとモチベーションにかかわります。安かろう悪かろう、必要経費だと割り切って会社・担当者選びに集中すべきです。
【まとめ】売却を依頼する不動産会社・担当者選びは慎重に決めましょう
- 高額取引となる不動産売買では依頼する不動産会社・担当者選びが重要
- 査定依頼~初期の電話・メール対応、会社の見方、営業担当者について、提案内容の判断基準まで不動産会社・担当者の選び方を22のポイントに沿って紹介
依頼先を決めるまでのやり取りを自分の感覚だけに頼らず、基準を持って最良のパートナーを探しましょう。査定の前後に記事の内容を読んでいただくと選別がおこないやすくなると思います。
この記事を読んで決めたお相手と、希望のタイミングで高く売却できることを祈念しています。
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